薬学部の退学率ランキング|私立56校の全順位と3年平均
私立の薬学部56校で、退学率がいちばん低い大学は2.40%。いちばん高い大学は38.93%でした。
ここでいう退学率は、文部科学省が公表している「退学等の割合」のことです。入学した人のうち、入学からおよそ6年後の5月1日までに、その大学の薬学部の6年制課程を離れた人の割合を表します。56校の単純平均は14.95%。同じ私立の薬学部でも、大学によってここまで違います。
この記事では、薬学部を目指す受験生と保護者のかたに向けて、私立56校の退学率を全順位の表で紹介します。あわせて、この数字が何を数えているのか、ストレート合格率とどう関係するのかを、文部科学省の公表データだけで整理します。
この記事の要点
- 退学率(文部科学省「退学等の割合」)には、退学のほか、転学・転学部・転学科・除籍も含まれます
- 2017〜2019年度入学生の3年平均で、私立56校の単純平均は14.95%。いちばん低い大学は2.40%、いちばん高い大学は38.93%でした
- 退学率が10%以上の大学は56校中32校、20%以上は56校中15校です
- 私立56校を比べると、退学率が高い大学ほど、ストレート合格率が低い傾向が見られました
- ただし、退学率が低いことは、6年で卒業・合格したことと同じではありません
目次
- 退学率とは(文部科学省「退学等の割合」)
- 対象と比べ方
- 私立56校の全体の分布
- 退学率が低い私立大学(1〜10位)
- 退学率が高い私立大学(下位5校)
- 私立56校の全順位
- 国立・公立の参考値
- 退学率とストレート合格率の関係
- 退学率だけでは分からないこと
- この記事の数字の見方(対象・出典・注意点)
- よくある疑問
- まとめ
- 動画でも解説しています
退学率とは(文部科学省「退学等の割合」)
結論から言うと、この記事の退学率は、大学をやめた人だけの割合ではありません。
文部科学省の資料では、この数字は「退学等の割合」と呼ばれています。中に入っているのは、主に次のものです。
| 含まれるもの | 内容 |
|---|---|
| 退学 | 大学をやめること |
| 転学 | ほかの大学へ移ること |
| 転学部・転学科 | 同じ大学の、ほかの学部や学科へ移ること |
| 除籍 | 大学の籍から除かれること |
まとめると、入学した人のうち、その大学の薬学部6年制課程を離れた人の割合です。式にすると、次のようになります。
退学率 = その大学の薬学部6年制課程を離れた人 ÷ 入学した人
たとえば、ある年度に100人が入学して、6年後の5月1日までに、そのうち10人が、その大学の薬学部の6年制課程を離れたとします。この場合の退学率は10%です(説明のための仮の数字です)。
この記事では、短く「退学率」と呼びます。ほかの大学や学部に進路を変えた人も入っている、ということを覚えておいてください。
対象と比べ方
比べ方は、前回までの記事で扱ったストレート合格率と、同じそろえ方にしています。
| 項目 | この記事での扱い |
|---|---|
| 入学年度 | 2017年度・2018年度・2019年度に入学した人の3年分 |
| 時点 | 入学から6年たった時点(2023年・2024年・2025年の、それぞれ5月1日) |
| 値 | 3年分の公表値(%)を単純に平均し、小数第2位にそろえたもの |
| 比べる大学 | 私立56校(新設でまだ卒業生がいない5学部と、募集を停止した1学部を除く) |
| 順位 | 私立56校の中で、退学率が低いほど上位。同じ値は同じ順位 |
※ 徳島文理大学は、徳島と香川の2つの薬学部を別々に数えています。
「入学から6年たった時点」は、6年で卒業する人が卒業したあとの春にあたります。この時点で、留年や休学で、まだ大学に残っている人もいます。その人たちがこのあと大学を離れれば、最終的な割合は、この記事の値より大きくなることがあります。
1年分だけでは、年ごとの上がり下がりが大きくなります。そのため、3年分の値を平均して、大学ごとの退学率としました。
私立56校の全体の分布
大学名に入る前に、私立56校の全体の分布を見ておきます。いちばん多いのは5%以上10%未満の帯(21校)です。一方で、10%以上の大学が56校中32校と、半数を超えています。

| 退学率(3年平均) | 校数 |
|---|---|
| 5%未満 | 3校 |
| 5%以上10%未満 | 21校 |
| 10%以上15%未満 | 9校 |
| 15%以上20%未満 | 8校 |
| 20%台 | 10校 |
| 30%以上 | 5校 |
| 計 | 56校 |
※ 2017〜2019年度入学生の3年平均。退学率には、退学のほか、転学・転学部・転学科・除籍も含みます。
※ 徳島文理大学は、徳島と香川の2つの薬学部を別々に数えています。
出典:文部科学省「薬学部の6年制課程における退学状況等」(令和5〜7年度調査)
20%台と30%以上を合わせると、20%以上の大学は56校中15校です。
同じ私立の薬学部でも、大学によって、退学率にはこれだけの開きがあります。ここからは、大学名を出して見ていきます。
退学率が低い私立大学(1〜10位)
退学率がいちばん低かったのは、福岡大学の2.40%です。上位10位までは次のとおりです。並べたのは、退学率の低い順です。
| 順位 | 大学 | 2017年度入学 | 2018年度入学 | 2019年度入学 | 3年平均 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 福岡大学 | 4.6% | 0.9% | 1.7% | 2.40% |
| 2位 | 星薬科大学 | 3.3% | 2.3% | 2.7% | 2.77% |
| 3位 | 北里大学 | 5.5% | 3.0% | 3.7% | 4.07% |
| 4位 | 同志社女子大学 | 3.2% | 5.3% | 7.3% | 5.27% |
| 5位 | 明治薬科大学 | 6.2% | 6.6% | 5.8% | 6.20% |
| 5位 | 金城学院大学 | 6.3% | 5.6% | 6.7% | 6.20% |
| 7位 | 東邦大学 | 6.7% | 5.8% | 6.7% | 6.40% |
| 8位 | 安田女子大学 | 11.2% | 5.0% | 3.6% | 6.60% |
| 9位 | 東京理科大学 | 5.1% | 9.2% | 6.1% | 6.80% |
| 10位 | 神戸薬科大学 | 6.8% | 7.1% | 6.6% | 6.83% |
※ 私立56校中の順位です(退学率が低いほど上位。同じ値は同じ順位)。5位は同じ値の2校のため、6位はありません。
※ 3年平均=3年分の公表値(%)の単純平均。各年度の入学者について、入学から6年たった時点(2023〜2025年の各5月1日)の値です。
※ 退学率=文部科学省「退学等の割合」。退学・転学・転学部・転学科・除籍などで籍を離れた人を含みます。
※ 徳島文理大学は、徳島と香川の2つの薬学部を別々に数えています。
出典:文部科学省「薬学部の6年制課程における退学状況等」(令和5〜7年度調査)
1〜5位
- 1位 福岡大学:2.40%
- 2位 星薬科大学:2.77%
- 3位 北里大学:4.07%
- 4位 同志社女子大学:5.27%
- 5位 明治薬科大学・金城学院大学:どちらも6.20%
5位は、明治薬科大学と金城学院大学が同じ値でした。同じ値は同じ順位にしているので、2校とも5位として載せています。
7〜10位
- 7位 東邦大学:6.40%
- 8位 安田女子大学:6.60%
- 9位 東京理科大学:6.80%
- 10位 神戸薬科大学:6.83%
表の各年度の値を見ると分かるように、同じ大学でも、入学年度によって値は上下します。たとえば8位の安田女子大学は、2017年度入学が11.2%、2018年度入学が5.0%、2019年度入学が3.6%でした。1年分だけで比べると順位の見え方が変わるため、この記事では3年分の平均で比べています。
退学率が低い=6年で卒業・合格した、ではない
退学率が低いということは、その大学の薬学部の6年制課程を離れた人が少なかった、ということです。ただし、6年で卒業できた人が多い、という意味ではありません。 退学率が低い大学でも、留年や休学で、6年たった時点で大学に残っている人がいる場合があります。このことは、後半の「退学率だけでは分からないこと」でくわしく説明します。
退学率が高い私立大学(下位5校)
反対に、退学率がいちばん高かったのは、日本薬科大学の38.93%です。退学率が高い側の5校は次のとおりです。
| 順位 | 大学 | 2017年度入学 | 2018年度入学 | 2019年度入学 | 3年平均 |
|---|---|---|---|---|---|
| 56位 | 日本薬科大学 | 48.1% | 36.3% | 32.4% | 38.93% |
| 55位 | 医療創生大学 | 40.7% | 33.3% | 29.8% | 34.60% |
| 54位 | 千葉科学大学 | 31.1% | 32.9% | 39.3% | 34.43% |
| 53位 | 青森大学 | 34.0% | 41.0% | 27.8% | 34.27% |
| 52位 | 北陸大学 | 27.6% | 32.1% | 33.1% | 30.93% |
※ 私立56校中の順位です(退学率が低いほど上位)。3年平均=3年分の公表値(%)の単純平均。
※ 退学率には、ほかの大学・学部・学科への進路変更(転学・転学部・転学科)も含みます。
※ 各年度の入学者について、入学から6年たった時点(2023〜2025年の各5月1日)の値です。
※ 徳島文理大学は、徳島と香川の2つの薬学部を別々に数えています。
出典:文部科学省「薬学部の6年制課程における退学状況等」(令和5〜7年度調査)
- 日本薬科大学:38.93%
- 医療創生大学:34.60%
- 千葉科学大学:34.43%
- 青森大学:34.27%
- 北陸大学:30.93%
この5校が、退学率(3年平均)が30%以上だった5校です。
この数字を見るときのお断り
ここまで、大学名と数字を並べてきました。少し、お断りをさせてください。
- ここで見たのは、2017〜2019年度に入学した人の、入学から6年たった時点の数字です
- 公表データを統計的に並べたもので、これから入学する人が、この割合になるという予測ではありません
- 退学率には、ほかの大学や学部に進路を変えた人も含まれます
- 何年生のときに、どんな理由で離れたのかは、この資料からは分かりません
- 反対に、退学率が低い大学でも、6年で卒業できずに、大学に残っている人がいる場合があります
入学しただけでは、6年で薬剤師になれるとは限りません。これは、どの大学にも言えることです。
薬学部受験情報館としては、どの大学に入っても、入学してからの毎日の積み重ねが、いちばん大切だと考えています。退学率が低い大学に入ったから安心、ということもありません。
私立56校の全順位
私立56校すべての退学率を、低い順に並べます。志望校の値を確かめるときに使ってください。表の値は、2017〜2019年度入学生の3年平均です。
同じ値の大学は、同じ順位にしています(5位・21位・35位に同率の大学があります)。
| 順位 | 大学 | 2017年度入学 | 2018年度入学 | 2019年度入学 | 3年平均 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 福岡大学 | 4.6% | 0.9% | 1.7% | 2.40% |
| 2位 | 星薬科大学 | 3.3% | 2.3% | 2.7% | 2.77% |
| 3位 | 北里大学 | 5.5% | 3.0% | 3.7% | 4.07% |
| 4位 | 同志社女子大学 | 3.2% | 5.3% | 7.3% | 5.27% |
| 5位 | 明治薬科大学 | 6.2% | 6.6% | 5.8% | 6.20% |
| 5位 | 金城学院大学 | 6.3% | 5.6% | 6.7% | 6.20% |
| 7位 | 東邦大学 | 6.7% | 5.8% | 6.7% | 6.40% |
| 8位 | 安田女子大学 | 11.2% | 5.0% | 3.6% | 6.60% |
| 9位 | 東京理科大学 | 5.1% | 9.2% | 6.1% | 6.80% |
| 10位 | 神戸薬科大学 | 6.8% | 7.1% | 6.6% | 6.83% |
| 11位 | 東京薬科大学 | 6.4% | 6.4% | 8.2% | 7.00% |
| 12位 | 崇城大学 | 5.9% | 9.2% | 6.1% | 7.07% |
| 13位 | 慶應義塾大学 | 7.6% | 7.6% | 6.6% | 7.27% |
| 14位 | 京都薬科大学 | 9.4% | 6.6% | 6.3% | 7.43% |
| 15位 | 近畿大学 | 8.2% | 3.4% | 11.1% | 7.57% |
| 16位 | 大阪医科薬科大学 | 4.6% | 10.1% | 8.7% | 7.80% |
| 17位 | 福山大学 | 5.0% | 7.0% | 13.0% | 8.33% |
| 18位 | 昭和薬科大学 | 8.0% | 8.9% | 8.9% | 8.60% |
| 19位 | 名城大学 | 8.9% | 9.9% | 8.5% | 9.10% |
| 20位 | 日本大学 | 10.9% | 9.8% | 6.9% | 9.20% |
| 21位 | 北海道科学大学 | 11.4% | 7.5% | 9.0% | 9.30% |
| 21位 | 武蔵野大学 | 8.1% | 11.2% | 8.6% | 9.30% |
| 23位 | 東北医科薬科大学 | 9.8% | 7.3% | 11.8% | 9.63% |
| 24位 | 鈴鹿医療科学大学 | 11.9% | 5.6% | 12.3% | 9.93% |
| 25位 | 神戸学院大学 | 9.2% | 10.4% | 14.8% | 11.47% |
| 26位 | 昭和医科大学 | 11.1% | 14.9% | 10.0% | 12.00% |
| 27位 | 立命館大学 | 10.9% | 9.1% | 17.9% | 12.63% |
| 28位 | 武庫川女子大学 | 10.6% | 13.7% | 14.8% | 13.03% |
| 29位 | 摂南大学 | 16.1% | 11.6% | 12.3% | 13.33% |
| 30位 | 高崎健康福祉大学 | 12.6% | 9.9% | 17.9% | 13.47% |
| 31位 | 帝京大学 | 15.0% | 12.3% | 13.2% | 13.50% |
| 32位 | 帝京平成大学 | 18.0% | 12.9% | 12.9% | 14.60% |
| 33位 | 愛知学院大学 | 16.7% | 14.7% | 12.5% | 14.63% |
| 34位 | 長崎国際大学 | 15.1% | 19.1% | 11.4% | 15.20% |
| 35位 | 北海道医療大学 | 21.0% | 14.0% | 13.3% | 16.10% |
| 35位 | 城西国際大学 | 20.7% | 11.8% | 15.8% | 16.10% |
| 37位 | 就実大学 | 21.3% | 14.3% | 13.8% | 16.47% |
| 38位 | 広島国際大学 | 14.7% | 21.0% | 16.7% | 17.47% |
| 39位 | 横浜薬科大学 | 16.4% | 19.3% | 21.7% | 19.13% |
| 40位 | 新潟薬科大学 | 29.3% | 14.2% | 15.2% | 19.57% |
| 41位 | 大阪大谷大学 | 15.1% | 15.3% | 28.4% | 19.60% |
| 42位 | 徳島文理大学(薬学部) | 21.4% | 20.3% | 20.8% | 20.83% |
| 43位 | 岩手医科大学 | 30.8% | 15.6% | 16.7% | 21.03% |
| 44位 | 奥羽大学 | 20.2% | 17.7% | 25.7% | 21.20% |
| 45位 | 松山大学 | 29.0% | 17.0% | 18.3% | 21.43% |
| 46位 | 兵庫医科大学 | 16.5% | 23.0% | 25.0% | 21.50% |
| 47位 | 国際医療福祉大学 | 30.6% | 25.3% | 13.4% | 23.10% |
| 48位 | 城西大学 | 27.4% | 20.6% | 22.9% | 23.63% |
| 49位 | 徳島文理大学(香川薬学部) | 31.1% | 32.4% | 10.0% | 24.50% |
| 50位 | 第一薬科大学 | 25.4% | 28.0% | 29.9% | 27.77% |
| 51位 | 九州医療科学大学 | 37.2% | 26.1% | 25.6% | 29.63% |
| 52位 | 北陸大学 | 27.6% | 32.1% | 33.1% | 30.93% |
| 53位 | 青森大学 | 34.0% | 41.0% | 27.8% | 34.27% |
| 54位 | 千葉科学大学 | 31.1% | 32.9% | 39.3% | 34.43% |
| 55位 | 医療創生大学 | 40.7% | 33.3% | 29.8% | 34.60% |
| 56位 | 日本薬科大学 | 48.1% | 36.3% | 32.4% | 38.93% |
※ 退学率=文部科学省「退学等の割合」。退学・転学・転学部・転学科・除籍などで籍を離れた人を含みます。各年度の入学者について、入学から6年たった時点(2023〜2025年の各5月1日)の値です。
※ 3年平均=3年分の公表値(%)の単純平均を、小数第2位にそろえた値。順位は私立56校中(退学率が低いほど上位。同じ値は同じ順位)。
※ 徳島文理大学は、徳島と香川の2つの薬学部を別々に数えています。
※ 国際医療福祉大学の行には、福岡薬学部・成田薬学部は入っていません(2学部は新設のため対象外)。
※ 大学名は現在の名称です。表記の注意は「この記事の数字の見方」を参照してください。
※ 新設でまだ卒業生がいない5学部と、募集停止の1学部は、この表に入れていません(下の「この記事の数字の見方」)。
出典:文部科学省「薬学部の6年制課程における退学状況等」(令和5〜7年度調査)
国立・公立の参考値
国公立は、私立の順位には入れず、参考値として別に示します。
国立:14校の単純平均
| 区分 | 3年平均(参考値) |
|---|---|
| 国立14校の単純平均 | 3.28% |
※ 入学時に6年制課程への所属が決まっていない大学は、6年制課程に決まった時点の在籍者数を入学者数としています(文部科学省の注)。
公立:各校の値
公立大学は、3年分の値がそろう大学が少ないため、平均は出さずに1校ずつ示します。
| 大学 | 2017年度入学 | 2018年度入学 | 2019年度入学 | 3年平均 |
|---|---|---|---|---|
| 岐阜薬科大学 | 8.5% | 11.4% | 12.1% | 10.67% |
| 静岡県立大学 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.00% |
| 名古屋市立大学 | 5.0% | 8.2% | 12.1% | 8.43% |
| 和歌山県立医科大学 | データなし | データなし | データなし | (3年分そろわず) |
| 山陽小野田市立山口東京理科大学 | データなし | 10.9% | 3.4% | (3年分そろわず) |
※ 参考値です(私立の順位には入れていません)。
出典:文部科学省「薬学部の6年制課程における退学状況等」(令和5〜7年度調査)
私立の大学を比べるときの物差しは、あくまで私立56校の単純平均(14.95%)です。
退学率とストレート合格率の関係
ここで、前回までの記事で扱ったストレート合格率と、つなげてみます。
ストレート合格率は、入学した人のうち、6年で卒業して、その年の国家試験に合格した人の割合です。分母は入学した人です。文部科学省の資料では「標準修業年限での国家試験合格率」と呼ばれています。
退学率に数えられた人は、その大学で、6年で卒業して国家試験に合格する人には入りません。 実際に、私立56校を比べると、退学率が高い大学ほど、ストレート合格率が低い傾向が見られました。
1枚の図で見る
横軸が退学率、縦軸がストレート合格率です。どちらも、2017〜2019年度に入学した人の3年平均で、私立56校を1校1点で置いています。

点は、左上から右下にかけて並んでいます。退学率が低い大学ほど上のほうに、高い大学ほど下のほうに集まっています。
この関係の強さを表す相関係数は、−0.864でした(私立56校の3年平均どうしで計算)。相関係数は−1から1までの値をとり、−1に近いほど、「一方が高いほど、もう一方が低い」という関係がはっきりしていることを表します。
2つは、文部科学省の別々の資料の数字です。それでも、数えている入学年度(2017〜2019年度入学)はそろっています。ストレート合格率が高い私立大学の名前と値は、ストレート合格率の上位5選の記事で紹介しています。
退学率だけでは分からないこと
ここで、1つ気をつけてほしいことがあります。結論から言うと、退学率が低いことは、6年で卒業して国家試験に合格したことと、同じではありません。
入学した人は、入学から6年たった時点で、大きく3つに分かれます。
| 入学から6年たった時点 | 退学率に | ストレート合格率に |
|---|---|---|
| 1. 6年で卒業した人 | 入らない | その年の国家試験に合格した人だけが入る |
| 2. 薬学部の6年制課程を離れた人(退学・転学・転学部・転学科・除籍など) | 入る | 入らない |
| 3. 留年や休学で、まだ大学に残っている人 | 入らない | 入らない |
ストレート合格率に入るのは、1つ目の「6年で卒業した人」のうち、その年の国家試験に合格した人だけです。6年で卒業しても、その年に合格しなかった人や、受験しなかった人は入りません。
3つ目の、大学に残っている人も、ストレート合格率には入りません。ですから、退学率が低くても、大学に残っている人が多ければ、ストレート合格率は高くならないことがあります。
留年にも重さがある
留年して、6年で卒業できないことにも、重さがあります。
留年すると、学費と生活費だけでも1年で数百万円かかります。さらに、働き始めるのが1年遅れ、将来の収入が1年分失われると考えると、損失の合計はもっと大きくなります。
退学率を見るときは、ストレート合格率とあわせて見てください。新卒合格率とストレート合格率の違いについては、新卒合格率だけで薬学部を選んではいけない理由の記事でくわしく整理しています。
この記事の数字の見方(対象・出典・注意点)
表の数字を正しく読むために、対象と注意点をまとめます。
対象と出典
- 退学率:文部科学省「薬学部の6年制課程における退学状況等」(令和5〜7年度調査)の「退学等の割合」。2017〜2019年度に入学した人の、入学から6年たった時点(2023〜2025年の各5月1日)の値です
- ストレート合格率(散布図の縦軸):文部科学省「薬学部における修学状況等」(令和5〜7年度調査)。同じ2017〜2019年度に入学した人の値です
- 対象:薬学部の6年制課程です。4年制課程(薬科学科など)は含みません
- 3年平均:公表された各年度の退学等の割合(%)を単純に平均し、小数第2位にそろえた値です。文部科学省の資料には、同じ入学年度が次の年以降の調査にも、別の値で載っています(そのときは入学から7年以上たった時点の値)。この記事では、各調査のいちばん新しい入学年度(入学から6年たった時点)の値を使っています。公表された%から、どなたでも検算できる方式にしています
- 私立平均:私立56校の3年平均を単純に平均した値(14.95%)です。1校を1つの選択肢として、同じ重みで扱っています
「56校」の数え方
※ 徳島文理大学は、徳島と香川の2つの薬学部を別々に数えています。
表では、徳島の薬学部を「徳島文理大学(薬学部)」、香川の薬学部を「徳島文理大学(香川薬学部)」と表記しています。
母集団(私立56校)から外した学部
次の6つは、私立の順位の母集団から外しています(前回までの記事と同じです)。
| 大学・学部 | 理由 |
|---|---|
| 湘南医療大学 | データなし(第1期生の卒業前) |
| 岐阜医療科学大学 | データなし(第1期生の卒業前) |
| 国際医療福祉大学(福岡薬学部) | データなし(第1期生の卒業前) |
| 国際医療福祉大学(成田薬学部) | データなし(第1期生の卒業前) |
| 順天堂大学 | データなし(第1期生の卒業前) |
| 姫路獨協大学 | 募集停止(2025年度から) |
※ 医療創生大学は、2026年度から薬学部の学生募集を停止していますが、過去に入学した学生のデータなので、対象に含めています。
大学名の表記
- 表の大学名は、現在の名称で載せています。文部科学省の資料は、調査の年の名称で載っています
- 昭和医科大学は、令和5・6年度の文部科学省の資料では「昭和大学」と表記されています
- 九州医療科学大学は、令和5年度の文部科学省の資料では「九州保健福祉大学」と表記されています
- 医療創生大学は、2019年4月にいわき明星大学から名称が変わりました。2017・2018年度に入学した人は、いわき明星大学に入学した人です
- 兵庫医科大学の薬学部は、2022年に兵庫医療大学と統合して現在の形になりました。2017〜2019年度に入学した人は、兵庫医療大学に入学した人です
同じ資料の「合格率」「卒業率」はストレート合格率ではない
文部科学省の退学状況等の資料には、「退学等の割合」のほかに、国家試験の合格率や卒業率の欄もあります。これらは、卒業した年を問わずに数えた値で、6年で卒業してその年に合格した人だけを数えるストレート合格率とは、定義が違います。この記事の散布図では、ストレート合格率の値を「薬学部における修学状況等」から取っています。
過去の実績であって、予測ではない
この記事の数字は、すべて過去に入学した人の実績です。これから入学する人の退学率を予測するものではありません。
よくある疑問
Q. 退学率は、大学をやめた人の割合ですか?
それだけではありません。この記事の退学率(文部科学省「退学等の割合」)には、退学のほか、ほかの大学への転学、同じ大学のほかの学部・学科への転学部・転学科、除籍も含まれます。まとめると、その大学の薬学部6年制課程を離れた人の割合です。
Q. 退学率が低い大学なら、安心ですか?
安心とは言えません。退学率が低くても、留年や休学で6年たった時点で大学に残っている人がいれば、その人たちはストレート合格率に入りません。退学率は、ストレート合格率とあわせて見てください。
Q. この記事の値は、最終的な退学率ですか?
いいえ。入学から6年たった時点の値です。この時点でまだ大学に残っている人が、このあと大学を離れれば、最終的な割合はこの記事の値より大きくなることがあります。
Q. 国立・公立が順位に入っていないのはなぜですか?
この記事の順位は、前回までの記事と同じく、私立56校の中で比べています。国立は、一部の大学で入学時に6年制課程への所属が決まっておらず、入学者の数え方が私立と違います。公立は、3年分の値がそろう大学が少ないため、平均を出していません。そのため、国立・公立は参考値として分けて示しています。
Q. 徳島文理大学が2つあるのはなぜですか?
徳島文理大学には、徳島と香川の2つの薬学部があり、文部科学省の資料でも別々に載っています。この記事でも、2つの薬学部を別々に数えています。
Q. 数字は毎年変わりますか?
変わります。これまで、文部科学省はほぼ毎年、新しい入学年度の結果を公表してきました(公表の時期は年によって違います)。新しい結果が公表されたら、この記事の数字を更新します。最新の公表資料は、文部科学省のサイトでもご確認ください。
まとめ
- 退学率(文部科学省「退学等の割合」)には、退学のほか、転学・転学部・転学科・除籍も含まれます
- 2017〜2019年度に入学した人の、入学から6年たった時点で、私立56校の単純平均は14.95%でした
- いちばん低い大学は2.40%、いちばん高い大学は38.93%。20%以上の大学は、56校中15校ありました
- 退学率が低いことは、6年で卒業・合格したことと同じではありません。ストレート合格率とあわせて見てください
入学前に知っておいてほしいこと
最後に、これから薬学部を目指すみなさんに、伝えたいことがあります。
薬学部は、入学してからも、6年間、学び続ける学部です。その認識を持たずに入学すると、途中で離れてしまう可能性も低くはないと、薬学部受験情報館は考えています。これは、特定の大学の話ではなく、どの大学を選んでも同じです。
入学する前に、6年間学び続ける覚悟が必要だと、認識しておきましょう。
入学したから安心、ではありません。そのうえで、毎日の学習の積み重ねが、国家試験へつながる道になるはずです。入学はゴールではなく、スタートです。この記事が、そのスタートを切る前の準備に役立てばうれしいです。
動画でも解説しています
この記事の内容は、YouTubeの動画でも解説しています。分布や散布図を動画で見たいかたは、こちらもどうぞ。
ストレート合格率については、前回までの動画と記事で紹介しています。
- 第1弾の動画:私立薬学部の約4割がストレート合格率50%未満|新卒合格率では見えない数字
- 第1弾の記事:【私立薬学部】ストレート合格率の上位5選|56校中22校が50%未満
- 第2弾の動画:新卒合格率だけで薬学部を選んではいけない理由|入学から合格までの人数で見る
- 第2弾の記事:新卒合格率だけで薬学部を選んではいけない理由|ストレート合格率との開き
次に読む記事
退学のほかにも、入学してから卒業・合格までを、いくつかの数字で見ています。
- 留年・休学をせずに5年生になった人の割合:薬学部の5年次進級率ランキング|私立56校の全順位と3年平均
- 入学から10年目までに国家試験に合格した人の割合:薬学部|ストレート合格率が低い大学、10年後は?
- 6年生のうち、その年度に卒業できなかった人の割合:薬学部|6年生の何%が、その年に卒業できない?

